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2月8日NHK大河ドラマ「天地人」を見た。
後の直江兼続が初陣にて戦の恐ろしさ、人を危める恐ろしさを味わい迷い、仲間をも危険に晒してしまう。そんな兼続を上杉謙信が戦場からはずしていく、当時としては、この処遇は大きな屈辱であろう。これが本当か否かはわからないがドラマの構成として謙信が「迷い」を見抜き、戦場からはずすその采配は上に立つ者として立派であると感じることができ、面白い。
兼続にとってのこの戦場での恐ろしさと迷いと屈辱が、後の肥やしとなり彼の心を育てていくのが想像できる。
「天の時、地の利、人の和の三つが整ったときに、物事はうまくいく」
このドラマの中で、今は兼続に天の時は流れていないものの、後にくるであろう天の時の為の、地の利、人の和を整える為の基盤つくりの時期を表していると思われる。
自らの人生を振り返れば49年、私にも「天の時、地の利、人の和」が整った時があった。しかし、大切なのはそこに行くまでの過程だったのだと思う。
故郷を離れ関西神戸で商売の修行中であった私に当時社長から"志"について教わったのを覚えている。"志"とは「寝ても覚めても頭から離れない目的意識である。」志を持ち、歩き続けたからこそ、天の時を嗅ぎつけ、地の利を得て、人の和を得ることができたのだと思う。しかし、現実はなかなか困難だ。楽があれば苦がある。苦がくれば全てが自分に背を向ける。時に人間が一番無情だ。
が、しかし、苦があれば楽がくるのだ。それは諦めなかったものだけにだが。苦の時にいかに真剣に悩み、努力を継続させるかで次の天の時、地の利、人の和を掴むことができるのではなかろうか?
殺された敵の亡骸に涙を落とす直江兼続の姿に若き日の自分の苦悩が重なった。
生死がとなり合わせであった、彼等の時代、生きる事に必死であったことは間違いない。
物が溢れた現代は"生きる"ことの情熱が薄れてきているようにも感じ取れる。
私は志とともに最期まで歩き続けたい。
直江兼続の人生から情熱を読み取るのも、また酔い。いい酒となるかもしれない。